「 桜 」 /服部 剛
 
その人の瞳の内に 
永久の春が在り
遥かな昔から
桜の木が立っている 

冬の冷気を越え 
降りそそぐ春の日射し 
今にも開こうとする無数の蕾に 
こころは軋(きし)む 

日々の重い足取りに俯(うつむ)きながら 
枝々にひとつ、ふたつ、と開き始める 
桜の花の唄に
耳をすます   

その人の瞳の内に
花々は満ち開き 
すべてを散らし 
風に舞う
桜の流れ  
春を奏でる 










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