夜想/結城 森士
 
あなたが死んでしまう夢を
頻繁に見る朝がありました。
そんな時は
泣いて目覚めるのでした。
僕はあなたを尊敬していました。
夢の中で朝靄に死んでいきます。
あなたは薄らと消えていきます。

目が覚めても、あなたは
目を覚ましませんでした。
次第に僕は
あなたが誰であるかを忘れてしまいました。
それでもあなたは朝靄の中で死んでいます。

いつも夜が来て
僕は目を閉じました。
何かを思い出そうとして
思い出せずに目を閉じました。
何かが悲しくて僕は泣きました。

幾年を超えて
あなたはなお死んでいました。
或る過ぎ去った夜に
横たわるあなたを見つけました。
僕は何かを言おうとして
あなたを見ました。
亡骸/シ、白い朝。
/死
白い朝。

あなたは多分最初から
とても尊い亡骸でした。
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