ちいさなちいさな砂糖菓子/折釘
 
 小さな小さな砂糖菓子


南風に吹かれてたくて 冬は欠けた月の下
目蓋を優しく通過した 低い雲を聞けよ
小さな小さな砂糖菓子

眠れる人の幸せなこと 温かな毛布と湿度を得られよ
生みたてた星の道程は 生れたばかりの星屑のような
小さな小さな砂糖菓子

その内部は結晶した夢 拡散するまた収斂して出来た
純粋な言葉が甘く広く 無限の放射を見せている
夢は終わらず夜超えて

流星となって届きそう 眠りを溶ける蜜に群がる程に
月は近づき又離されて 空は蒸発する程に密な夢よ
抵抗する程に現わされ その姿を見せつける

小さな小さな砂糖菓子
額に掛かる黒髪の中で その歓びを欠けながら‥回す
カーテンの隙間からは そっと畏が溢れ零れる



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