東京 八ヵ月/soft_machine
宿から中央線を立川に向かいながら、俺よりはるかに歳上だろうおじさんが椅子に腰掛け、何やらアニメの冊子を熱読している。その表紙には、巨大な瞳、長い手足、短いセーラー服のギャルが竹刀を片手に堂々としていた。
オタクなおじさんが人目もはばからず、電車で趣味に耽ることができる。
東京の優しさのひとつとして、人ひとりひとりが自分に没頭できる可能性が開かれているところだろうか。
街は、旧さと新しさが同居したまま、常に工事中で、どこかで祭りでもやっているかの如く、人波が荒く、早く、押し寄せては過ぎ去る、その行き先には、どことなく数字や貨幣が見え隠れする。
美人が少ない。平均的美人の敷居が低い。しかし、ぎ
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