「 窓辺の日射し 」 /服部 剛
ひとりの部屋で
哀しい唄を聞きながら
歌詞を机にひろげて読んでいると
窓からゆっくり日は射して
机を覆う影は
波のようにひいてゆく
*
窓の外を見ると
鞄を背負い
立ち止まる旅人
川の畔(ほとり)に重荷を降ろし
膝を抱え
叢(くさむら)に戯(たわむれ)れる
二羽の蝶々を眺めている
川面(かわも)は
春風に散る
桜吹雪
ふたたび
鞄を背負い
立ち上がる旅人
淡い夢を失えぬまま
名も無い季節へと
歩き出す
*
ひとりの部屋に
流れて
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