向日葵/服部 剛
自らのおぼつかない足どりに
黙って下を向いてたら
「歩けるかなぁ ・・・
じゃなくて、歩くのよ!」
隣で僕を支える君が
猫背をたたき
ぬくもった平手で「気」を入れた
若かりし日々から
繰り返された弱さで
知らぬ間に打ち寄せる音のない波に
目をつむり
朝の玄関を押し開いては
昇る太陽を仰ぎ
皺(しわ)の入った革靴の両足は
小鳥等の唄がこぼれる街路樹を抜けて
変わらぬ表情で口を開ける駅へと足跡を伸ばした
(僕等には互いの顔に見飽きても
離れない手と手の内に育まれる一粒の種があった)
「歩けるかなぁ ・・・」
の呟きを振り切っては
踏み出す一足々々は
振り返ると
長い道に四つの足跡を刻んでいた
傍らにはいつも
向日葵(ひまわり)が
黙って風に揺れていた
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