「 頂の猿 」 /
服部 剛
ひとりの少年が
壁をつたうパイプの上を
猿の手つきでのぼってる
壁の頂で少年は
( 見ざる・言わざる・聞かざる )
のおどけたそぶり
次の瞬間
頂から
両腕ひろげて飛び降りた
人のゆけないところへ
いともたやすくのぼり
音もなく着地して
走り去った少年よ
日々のこんがらがった糸に
頭をかかえる私は
どうすれば
君の身軽さになれるか
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