さよならのかわり/緋月 衣瑠香
 
後ろの席で
あなたの背中をじっと見ていた

明日の今頃には
きっと君はここにはいない
そして
君がここに戻ってくることもない
私を残して
あなたは旅立ってしまう

いつだって
私はあなたの背中を見ていた
最初にあったときだって
顔じゃなくて背中が先だった

耳鳴りのように鳴り続く歌声
この声の中には
あなたの声もあって
その声と一緒に歌っている人たちが
とても羨ましかった

きっと明日の帰りは
小さく同じ歌を歌って帰るんだ

それでも
あなたがいないことが理解出来なくて
明後日には
きっとあなたの背中を捜している

明日もここから
あなたの背中をじっと見ている

なにもいえない私は
ただ
じっと見ている
戻る   Point(7)