さよならのかわり/緋月 衣瑠香
後ろの席で
あなたの背中をじっと見ていた
明日の今頃には
きっと君はここにはいない
そして
君がここに戻ってくることもない
私を残して
あなたは旅立ってしまう
いつだって
私はあなたの背中を見ていた
最初にあったときだって
顔じゃなくて背中が先だった
耳鳴りのように鳴り続く歌声
この声の中には
あなたの声もあって
その声と一緒に歌っている人たちが
とても羨ましかった
きっと明日の帰りは
小さく同じ歌を歌って帰るんだ
それでも
あなたがいないことが理解出来なくて
明後日には
きっとあなたの背中を捜している
明日もここから
あなたの背中をじっと見ている
なにもいえない私は
ただ
じっと見ている
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