わたしは猫が大嫌い/Six
 
 時代も歴史も超越した
 コケットリーのアイコンは
 今日もお高くとまっている
 薄汚い暖房室外機の上で
 こちらをうかがいながら
 眠ったふり

 幾多のげいじゅつによって
 あがめられ、
 畏怖されてきた
 その揺ぎ無い地位のこと
 本も読んだことないくせに
 知っているらしい

 求婚者に難しい謎をかけ
 答えられなければ
 次々に首を刎ねた
 残酷な姫君
 刎ねられた生首は
 その血が乾ききるまで
 姫よ私はあなたの奴隷です、と
 満足の表情を浮かべていた

 さて年老いた姫は
 日だまりの中で薄目をあけ
 短い欠伸だけで午睡を醒ます
 夢の中ででも
 自分の毛皮を舐めてばかりで
 昔のことは憶えていない

 姫よあなた一体何様のつもりですか

 おんなだしおれさまはへんですね
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