モバイル100/nm6
ぼくらは電波に乗って。
つい揺れて悔いて後退るぼくの間違いも、変化する内側を訴えるきみの気まぐれも、あけすけで譲らない誰かの嘘も。電波に乗って、浮かんでは飛び交うそれらがもし、全て空気中にうっすらと見えたかと思うと、やがてくっきりと現れてしまったとしたら。それは、そう。それは絶望的にやさしい何らかのパワーで、決して眩暈でも幻覚でも耳鳴りでもない。だから、吐いてしまおう。ぼくならばきっと、そうしよう。まず、窓から飛び入る完璧な虫の、そんな進化論的なカーブを黙って見る。しばらく見惚れてから、その隅々を小さな声で繰り返し読みあげる。そうして知るのは、世界の数だ。それはあくまで量でしかない。分か
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