おはなし 1〜50/Monk
中華料理屋の娘は夜中泣きながら帰ってくると黙々と餃子を包み始め、明け方娘が寝てしまうと中華料理屋の主人はその大量の餃子を黙々と焼き始めた。
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詩人は妻の作る料理に感激し「詩的だ」と一言言うと、二人分の弁当を買いに弁当屋へ出かけた。
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その岩の上から見る朝陽は世界で最も美しいと言われており、梯子屋の男は観光客のために毎日岩に梯子をかけていたので彼自身は一度もその朝陽を見たことがない。
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二人は交互に風船を膨らましてゆき、あと一吹きすれば割れてしまうというところで顔を見合わせ、以後風船はサイドボードの上にずっと飾
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