おはなし 1〜50/Monk
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眠っている間に恋人の脳みそをそっと取り出すと月灯りの射す窓際に並んで座り、この世の美しいものについて順番に語りかけている。
(48)
その女の想いは多数の人々を介してやっと男に伝えられたが、男は直前に彼に伝言をした女のことで眠れぬ夜を過ごし始める。
(49)
私は身体の中心に林檎を実らせたその娘のことを誰よりも愛し何よりも大切に扱いたい気持ちでいっぱいなのだが、肌を重ねるたびに娘の林檎に歯を立てずにいられない。
(50)
コンビニに行くとアイスが全部とけていてしかたなく消しゴムだけ買うのだが、レジの女の子のおつりを渡す手はクリームでひどくベトついている。
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