針の無い秤/瓜田タカヤ
ドッカにいる宇宙人が
硬直していることが生命だという認識があったとしても
草むらを跳ね回るねずみ色のウサギには無関係の話だ
急な角度の斜面をどれほど本気で走ったとしても
幼稚園の頃、安アパートで見た気持ちの悪いヒーロー番組とは
無関係の話だろう
カルキ臭と冷気で
洗面台は腐食し
逃げ回っていた殺人犯は
余裕の笑みのみで自らを支える
無邪気なトロリと粘膜をアスファルトに落とせば
街の機能は巨大な赤煉瓦の破裂音を吹き
大人はコミカルに粉砕され
この小さな田舎町にある存在内で
何度目かの
後ろ向きな未来一人ねぶた祭の到来である
長細い顔の首を3日間かけて
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