開花/海月
夜風が音を立てずに私の髪の間をすり抜けた
それは君が私の髪に触れた時の感じに似ていた
闇に姿を合わす木々達が音を立てる
自分の呼吸の音を聴けと静寂を消し去る
私の足(ヒール)がアスファルトを潰す度に
独特の温もりと渇いた音が反響し
何処か遠くで形を成す段階を得ずに消えた
優しさなら偽善者に会えば良く
愛ならば人を抱く事で満たされ
死ならば君を失った時に
思い出は心の奥底で圧縮された
君がいない世界で私が生きる理由は?
希望は絶望へと変貌して
「光が在るから闇が生まれる」と誰かは云った
手の平を返した様に私に対して時間は
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