見上げれば、僕等。/黒子 恭
どちらかと言うと
僕等は空ではなくて、雲なのだろうなと、
三点に立つ
高層ビルの隙間からぼやいた。
人類の歩みなんてものは
どこかよたよたしていて
未だにフロンガスは使われてるし。
あのモンゴルの地平線に住む遊牧民や
極寒なる国のエスキモー、
水平線に囲まれた島の漁師達、
濡れた森に住む先住民、
立ち並ぶ未だ灰色のビルにめまいがしそうな僕等。
其等が同じであって一つで無いことなどを
証明するかのような無数の集合体は
未だに行き先が定まらない。
空も何も言わずに、悠然とそこに在るだけで、
そんなに青いなら
いっそ
僕等の悲しみさえ
吸い込んでくれればいいのにって。
三点に立つ高層ビルの隙間から
また今日もぼやきながら
空をよたよたしながら。
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