球根/もろ
 

紫色にぼんやりひかる窓が歪んで
亀裂が入っているようだったので
ちょっとした好奇心から
指先でそっと
深い亀裂をなぞってみる

誤って指を切ってしまった。

決して切りたかったわけではない
でも実は
誤ってなどいない。

窓の中では見知らぬおじさんが
事務作業をしている。
どんな人なのかは
見当もつかない。

紫色にぼんやりとひかる窓は
昨日まではそこにはなくて
用なんかなかったけれど
軽いノックのあとドアを開け
中に入ると
ちゃぽん
コップの中に
ビー球が落ちるような音
ドアの中は水で満たされていた
切った指からは
血が滲んで
上へと螺
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