薇仕掛け/海月
 
機械仕掛けの都会の街並み
高層ビルの間を風が抜けて行く
人々は目的もなく彷徨う
そんな運命(定め)なのでしょうか?

緩やかに時間は下降線を描き
破滅の時を刻みつつ在る

夕暮れ時は空が茜色に染まって
それはそれは綺麗で言葉を失い
眩しさに目を細めながら見ている

来年からは眺めが変わる風景
この窓の向かいに大きなマンションが建つみたいで
剥ぎ取られた風景は盗まれた絵の様で
額縁だけが静かに壁に飾ってある

自分は何の為にいるのか?
答えのない幼稚的な質疑を月の無い晩に自分に問う
暗闇の夜は風が冷たく
私の心身共に凍えさす
結局、答えは何も出ずに夜は明ける

何かを望む事は止めた
いつも手に入れた時に失望に出会う
その度に傷付く心は今も膿み
渇く事無い傷口が剥き出しになっている

立ち止まり周りを見渡す
二つの場所を行ったり来たり

薇(ぜんまい)ヲ巻かレた
私ハ何ヲすレばイイ?


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