黒い森/大覚アキラ
 
乾いた枝を踏んで
分け入ってゆく

ひとり
黒い森へ

木漏れ日と見まごうほど
雨のよに降り注ぐ見知らぬ星座

足元の影
黒々と

獣の踏みならしたあとを
なぞってゆく

奥へ
奥へと

雲ひとつない黒い空に
前触れもなく轟き渡る雷鳴

驚いた鳥たちが
いっせいに羽ばたいて

影だけが
ただ黒々と

黒々とした
足元の影だけを見つめながら

乾いた枝を踏んで
分け入ってゆく

ひとり
黒い森へ
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