愛撫/折釘
 
愛を繰りだす窓際の寝室
撫で、掴み、引き押しながら
おそ過ぎた朝食を悔やむ
みじかくも仄かな一日は

濯いたての匂いが饐えてゆく
掌に背骨は山脈のように
つっぷした表情を、時に苦悶させ
花咲く木々の尾根を、一瞬で蒸発させる

窓の外には、春曇りの
菜の花が溶けはじめようとしていた
君を引き寄せ
これでもかと締め付けるたびに

ポール・シェルダンの大衆文章よろしく
中学生が勃起したペニスを寄せ比べてつけた
弦を張る弓の自信の硬さほど

愛とは たいしたものである

もう、やめてと薄く響くこの声
正上位であれば たてた爪が背中を破っても
そのことに 気づきもせぬほどに


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