プリテンダーが笑う夜/八月のさかな
知らない音がとびらをたたく
ベッドで薄目をあけたわたしは
なにも聞こえないふりをする
知らないひかりが窓からのぞく
つくえでまつげを伏せたわたしは
全部知ってるふりをする
夏と冬がひっくりかえって
夜と朝がごちゃまぜになって
きみとわたしがばらばらになっても
わたしは平気なふりをする
ダイジョウブ?
って声がきこえて
ダイジョウブ
ってにっこり笑う
やさしいひとがにっこり笑って
白いハンカチをくれた
笑ってるはずのわたしにはまだ
その使い道がわからない
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