それは、冬の公園で/soft_machine
 

それは、冬の公園で
午後の風はきみのもの
ちぎれてひとつ、またひとつ
木々を背にしたベンチから
息を吹きかける
胸がふくらみはじめた
一輪車で少女がすぎる

空をうつした水たまり
昨日の雨はきみのもの
沈んだまあかいおち葉が
忘れられそうなひかりを
やわらかく刻み
声の乾きも知らず
ボールを抱えてうつむいた少年

夕暮れを待たずたち去る恋人たちに
片足づつ地面を離れる影は
お互いの名前を大切に秘め
そのむこう
東へむかう飛行機雲は蒸発し
ゆっくりとゆがみながら
さいごにあっけなく
わらいながら
静かなまひるのたいように
ながれ星が
おちてゆく
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