ホイップクリーム/R
 

九月空、あの日はとても暑かったから。
きみの熱、そのからだ、空気感のせいか、わからずに「幸せ」だとつぶやいた。
表面上をなぞるホイップのように、きみはいつもやさしい。
(それは白く、甘く、粘性を持ち、上辺だけあたしの体をやさしく包む)

少しちいさなきみの手のひら、おさまるだけのあたしでありたかった。

いま、いま一度こうして言葉を飾る。
あたしがきみに投げつける不安の一つ一つの答えは単一に
「そんなことないよおれはきみがすきだよ」
ああ欲しいのはその言葉ではなく、その背景にあることば。

二月空、寒々と、まつ。
(暖かいとはいえ、寒さを理由にして暖めあう事位は出来るのに)
あたしの熱、そのからだ、距離感のせい、変わらずに「幸せ?」とつぶやいた。
表面上をなぞるホイップのように、きみはいつだって、
より小さなあたしの手に重ねる。

まだきみの熱と空気の境界線、寒空、明確になっても抜け出せずにいるよ。

ああ、本当に、きみというひとはずるい。



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