ひび/服部 剛
 
みえないじぶんをこえてゆく 
ぬげないじぶんをぬいでゆく 
このみをしばるなわをとき 

なみだのおちたてのひら 
にぎり 
しめ 

(ふりかえれば 
(しかばねのごとき 
(むすうのぬけがら 

にくたいのろうごくにうずくまり 
みえないかべにくずおれて
はくだくのうみにおぼれゆく 
(あの、うつくしいこえだけが 
(みだらにも、やわらかいすがたで
(おれをよぶのだ  

(てさぐりのこうふくは、 
(いつもむなしくきえさった 



 「    

      くろかべに
      ぼんやりうかぶ
      いっぽんのきょぼく
 
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