静かに淡く
空ゆくものに
虚ろな金具は外れ
風と海のはざまに
夢と現は映る
速い羽を携えた
雲の音は近くなる
汝は吾が奴隷ではなく
吾もまた汝らの
願望の奴隷ではない
遠くに燃えあがる
すべての意思に
思いをはせながら
深海魚は歌っている
支配せぬ神は
何も負わず去ってゆき
自由はゆだねられたはず
無言の中に
引き裂かれ
たゆたいうつろう
仕草にすぎない抒情
生きることの
愛おしさと
痛みに震える
裸形にまとうため
こぼれ錆びついた
それは掻き集められ
連なる車の光の
うねりの彼方に
歩んでいくのか
沈んでゆくのか