食卓/霜天
なので、
朝食にはレモンを選びました。
細い腕で積荷を忘れられず撫でる、
あなたにはぴったりだと思うのですが。
あどけない思い出は、見ない振りで通り過ぎ
ることを許してくれない。親指と親指を約束
の代わりに結んで、その隙間からほどけるよ
うに漏れていくものを忘れたりもしない。ス
カイ、レイン、食卓に並んだ小さな手。いつ
も集まるものが全てで。忘れることには慣れ
ないままで。
並んだ椅子に座る。
向かい合わせには座らない君は、
いつか振り向いて、見逃してきたものを。
その配分と、構成比率とに悩まされて。
食卓の向こうにある窓の外
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