日々の始まり/海月
 

縁台の風鈴が夕立を浴び
遠い旋律を運んできた

聴き慣れた曲でさえも新鮮に感じる事がある
何度も何度も同じ曲しか弾けないオルゴールでさえも
時間を経たして聴けば心地良く感じる時もある

4:「永遠」に気づくと砂時計は残りの日々を零していた

生温い、愛。
生温い、だから、だからこそに。
渇いた肌に沁みこんで永遠に繋がりたいと思える

何処にもない
安らぎが其処で湧いていた
砂時計の砂みたいに下に零れてきた
今はただ降り続く砂に安堵を憶えた

5:不幸の片隅で至福の芽が地面から出てきている

温もりと微かな香りを残し
君は僕の目の前から姿を消した
カーテンが静かに揺れている

孤独を好んでいたのに
手に入ってみると何処かあっけない
何かが違う

人を失って手に入れた孤独
最初から何も持たない孤独

不幸の片隅で新しい日々が始まった





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