白衣の堕天使/Rin.
一 秘密の楽園
二人の世界の入り口は
いつだってこの実験室
あなたはそっと私を呼んで
脱いだばかりの白衣を着せた
袖の長さが余っていて
なんだかとても不恰好なのだけど
秘密の実験にはそんなことどうだっていいよ、と
追い放たれた天使のように
あなたが屈託なく笑って言うものだから
なんだか本当に、そんなことはどうだってよくなってきた
調剤は目分量でも効けばいい
あなたは耳慣れない成分の名を
てのひらに書いて
もう全てを良くしてあげる、と囁く
中身を問わぬままの、アカズの棚
その隣にある実験台は
欠けたラベルを貼った瓶でごった返していた
長い長
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