小春日和のこんな日に/ポップこくご
父親と車に乗る
エンジンのかかりは悪くてうるさい
追っ手などどこにもいないのに
ありったけの白煙をまき散らす
追っ手が来たって逃げようがないほど
アクセルの想いは届かない
堪忍袋の緒も切れて
ええいとリアを蹴り上げてみたら
バンパーが落っこち
爪先はあうちっち
いやひょっとしたら
僕らを置いてけぼりにして
ブロロロと走り出すかしら
これでもラリーに出られるほどのすっごい車だったんだぞとは
父親の何十回目かの口癖だ
地図なら僕にまかせてよ
今はブロロロの音も聞こえないけど
色あせた一枚の写真でドライブに出掛けよう
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