「 展覧会の絵 」/
服部 剛
えちゃいました )
( 闇の向こうへ、逝っちゃいました )」
壁に絵の並ぶ正方形の廊下を一周した後に、
長い廊下を渡って戻ると、廊下の途中で開い
たドアの中から予算の書類作成で、連日食事
を忘れて午前零時まで残業している事務長の
キーボードを打つ無表情なリズムを通過して
職場の門を後にした。夜道を歩む私の影が、
何処か寂しく揺れていた。
( 施設の壁に並んだ最後の絵。)
「
風に波打つ麦の穂の隙間
から一瞬見えた、人ノ影
」
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