いずみ/服部 剛
しんかんせんが はっしゃする
ぐんぐんとはなれゆくきみのすむまちへ
ことばにならぬおもい
かそくするしんこうほうこうにさからって
きゅっ とくちをつぐんだまま
きみのことを すきだ とさけぶ
きみにてわたしたよつばのくろーばー
( げんきなかったけど
( はっぱがかおをあげたの
とほほえみをうかべるものだから
ぼくのなかにあるいずみは
みずがあふれてしまった
きみのすむまちが
はいごにみえないほど
ちいさくなる
しんかんせんにのりながら
みじかいうしろがみをひかれたぼくは
せもたれに かくん とあたまをねかせ
うつろなさかなのひとみになって
ひくいてんじょうを あおぐ
ことばにならぬおもい
みっつのもじに ぎゅっ とつめこみ
さみしさを ぐっ とこらえて すきだ とさけぶ
てんをあおぐ このあたまの
ずっと ずっと うしろのほうへ
もはやとおいそらのしたにいる
きみのなかのいずみが
なみうつように
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