静かな森に/霜天
静かな森に
命の眠っていく音が響いて
今日、一日の心音の数を
手のひら一杯に数えて
それを大きく
飲み込むように
明日へ繰り越すための挨拶をすると
その分だけ誰かが、ほどけていく
また混ざり合う夢を見ながら
手だけは、逃げるように
いつもするりと離れていく
明日の用意を
鞄の中だけに残しながら
私の中には何も残さないでおく
昨夜は約束ごと、あなたがほどけてしまったから
結び目が見つからなくて、一晩中
自分であることの下手さに、溺れてしまえば
沈んでいくだけだろうから
明日は
自分のために自分を削ってみようと思う
案外、悪くないような気もする
いつだって難しい
ためらいの奥で私が飛ぶように
静かな森に
空が映る
命の眠る音が響いて
私はそれを飛び越えるように
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