対岸の人/七味とうがらし
 
うなだれた湯船に乗って対岸へと渡ると
おもむろに湯を三度かぶり
最初はシャンプーと決めてある

目をいつまで開けていられるかという挑戦をいまだ続けつつ
怒られた記憶を引き出そうとしている

で、間違ってまたシャンプーをつけてしまった

自分の失敗にウケつつ
三度目のシャンプーをつけてしまった


力の抜き加減に長けた

対岸の

半笑いの君たちに比べ私は

三週間前にうなだれた大仕事の大失敗。

イマダノドボトヲスギズ


テレビの中では連日のように
攻め煽り陳謝する私達

今日は青空がやたら青かった



美しきいばらの
記憶は毛と共に薄れ
流れてゆく

ぼくは半分だけ笑みを浮かべる

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