手紙 〜四つ葉のクローバー〜 /服部 剛
せては闇に散る花 )
*
再び上野駅に戻り、改札の端の
小部屋に立つ駅員に切符を見せる
「はい、どうぞぉ」という柔和な
口調と素朴な大きい瞳に何故か心
がうたれる旅の始まり。
( 澱んだ世の
( 人混みにまぎれた数少ない隣人の
( 瞳に滲んだ星の瞬き
*
昨夜、遠く離れた場所にいる君と僕
は同じ月を見ていた。明日、僕等は初
めて食事を共にするだろう。
( 無人の映画館
( 午前三時のレイトショー
( スクリーンに映し出される
( 駅前の広場で待ち合わせのふたり
*
午前三時の夜行列車
闇に加速する輪音
君住む町へと続くひとすじの線路
膝の上には、明日君に手渡す小さい植木鉢。
( 四つ葉のクローバー達が、踊っています )
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