ショコラティエ/三条麗菜
打ち砕いて
安らかな眠りにつかせる
想いの数々はひたすら甘く
私が溺れた淡い期待のいくつもが
気泡となって混ざり込み
あなたの舌の上で
壊れる時を待つのです
私に練り込まれた生クリームは
幼い頃に毎日飲んでいた
ミルクと同じ成分で
あなたに抱かれて
疑いを持たなかった幼児に還るため
流れた時の分だけ幾重もの
幾重もの白い層を
なしています
私という小さな一粒を
あなたに贈ります
口に含んで
溶かして下さい
あなたの温かさで
私は幸せに溶けていき
溶けていき
何も無くなって
香りだけを残して
消えてしまいましょう
それでみんなおしまいです
さて
超一流のショコラティエは
いったいどこにいるのでしょう?
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