下弦の月/
R
どの君も本当の君で、
どの僕も本当の僕だと
僕は言ったけれど、
きみや彼女の中に存在している僕と
今ここで呆然と生きている僕は
やっぱり相容れないものだと思うのです。
僕は強くもないし弱くもないし
抱きしめる腕も言葉も持たないので
欲しがっている「確かなもの」が与えられなくて
やっぱり、少しづつ君を蝕んでいってしまっているのだと思います。
欠けた月みたいに、いつか満ちていくのなら幸せだけれど。
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