レンズ/R
あたしはいつだってあたしがいたというしるしをつけたがった。
きみはなくす事を恐れていたのにも関わらず、それをとても嫌がったね。
あたしの視線から君がいた記憶、数えるほどにしかない記録。
あたしは本当はきみがいたという記憶を残したかった。
きみは微笑んでこう言うんだ、「記憶は平面的に捏造される」って。
捏造でも想像でも創造出来る程に、君の記憶をとどめておきたかったよ。
空想の余地すら与えない、君はとてもずるいこだった。
少しでも君を残しておきたくて、
あたしはいつだってあたしを残そうとあがく。
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