ソラノシタ、君と/し ん
「空って‥私たちみたいよね」
暖冬と呼ばれた日の朝
僕らはベンチに座ろうと
ほんの僅かに積もったキラキラと瞬く雪をはらう
空はまだ青白く薄い綿菓子のようなもやを浮かせる
お日さまも夢より素敵な夢の中にいるようだ
僕らは唯一の共通点
川辺に腰を降ろして
静寂の音の中
没頭し始めた
二人一緒にゆったり
空を仰ぐ
僕はすぐに空から横へ
視線を
空を見上げるのが好きだ
空を見上げる君の横顔を見るのも好きだ
綺麗な曲線を描く君の輪郭
空よりももっと遠くを見詰める
咲き乱れた睫毛
「なによ」
僕の視線に気がついたようだ
照れ臭そうな表情で言葉を向ける
何でもないよ
そう言って僕は目を
きうっと細めて
白いもやを一息吐いて、空を仰ぐ
君もまた、仰ぐ
魚が啼いた
あ、お日さまだ
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