春風/海月
る
お互いの心を絡めた日々
繋がり合っている時間
見透かされている心
「嘘」とはその場を繋ぎ止める物
「愛」とは関係を壊さない最終的の手段
「嘘と愛」を上手に使い傷付けない様に頑張ってきた
「信用」とは心を許した回数に比例する
「不信用」とは心を拒まれた回数に比例する
「信用と不信用」で双方の自由は奪われていった
音がない部屋の中で息継ぎだけが響いた
普段は聴こえる筈のないそれが有りがたかった
まだ、君は僕の耳が届く範囲にいてくれる
まだ、僕の声が届く範囲にいてくれる
朝一番の電車で君はこの街を去る
だから、どうか駅まで送らしてくれないか?
いつもみたいに君を自転車の荷台に乗せて
駅までの道を辿る
春前の風は冷たかった
ただ、優しい匂いがした
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