食虫ぐろすぐり/R
ほら夜の明かりがどろりと粘着質な桃色にひかっています。
あおいしろい灯り(今年の冬の流行色。有機照明のひとつにもなりはしない)が
一層この世界の汚さを浮き彫りにねえ。
きみのくちびる。粘着質な桃色。ぐろすぐるりと羽虫捕らえて。
ねとりと光るその色の吸引力は。そう、僕も羽虫なの。
朝起きたら光の中にきみとザムザ。
そう意思を強く持たないと粘性の中にからめとられてしまうよ。
ほら僕というひとりがどろりと粘着質な桃色にひっかかっています。
ぐろすぐるりと羽虫捕らえて。
じぶんがいちばんだいじだとおもっているひとほどからめとられたりするんだ。
自分がここでしか生きられないなんて誰が限定したの?
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