Orkan Warnung/英水
流されていく髪が合流する前に、少しづつ風が重みを増していく。街角では、雨になるかもしれない。窓の外を歩いていく綺麗な女が、彼女たちの男に抱かれているときにするキスの仕方に想いを馳せている。もう、何年間も、タバコを吸っていないことに、突然気づいたりする。汐についてあれこれ考えたりする。時々、生きつづけることと、不滅であることの違いがわからなくなる。
街路樹の葉はことごとく消えうせてしまった。冬は、木立に葉がないということだけで、冬の意味を加速度的に増していく。もう、付いて行くことができない。息切れ。今、その道を歩いて、この入り口を通ってこの席へ辿りついたのだった。そして相変わらず、窓の外で進め
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