長短の夜/海月
 
長短の夜に君に出会った
優しく微笑んでいた

実体の持たない感情
無理矢理に形に表そうとするなら
君を抱くこと
つまり、愛?

やわらかな陽射しが窓ガラスをすり抜けて
白いテーブルの上でちかちかと輝いている

今は綺麗なままで其処に在る
何れはその色を消してしまう
色褪せる思い出に何度も色付けをして
元の色を忘れてしまう
赤とも青とも言えない空の色
霊魂は静かに地上を去る

コップの中に水滴を集めていく
時間が経つとコップの水は表面張力で零れないようにする
それに自然と力が加われば零れてしまう

君の背中が遠ざかる
いくら走っても追いつく事がない
心の何処かで二度と会えない気がした
どうか、醒めないで
と願う程に目覚めが近い
最後に君に伝えたい言葉

さようなら
ありがとう

今朝の朝陽は歪んで見えた



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