烏(からす)/北野つづみ
 
         −季節外れの福寿草が咲いた朝に


眼を閉じていたいんだ

その眼は遠くが見えるから

口を噤んでいたいんだ

叫び声はしわがれているから

太陽は今日も低い
なのにやたらと暖かい冬
電線に止まって
これからどこへ飛んでいこう
考えあぐねている
一羽の烏

喪服を着ているんだ

亡くなる未来を知っているから

涙は流さないんだ

その未来に自分もいるから


2007.1.22


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