春の雪/まどろむ海月
 
{引用=




遠い雲と雫が
まわり舞い

霧の匂いの頁に
痩せた流木が
書き留めた
風の足跡が届く

  さびしさの果てに
  信じるものは何 ?



 歪んだ鏡に
 消えていく郷愁が
 つむがれる夜
 金の糸の踊りのように
 凍える物語は
 ふるえ はばたき
 したたるのです





黒くうねる大海原
すいこまれ 消えていく
果てしない時間


 深くもぐっても
 暗さはますばかり
降りしきるマリン・スノー
宇宙の闇




なんという奇妙な幻想を
逃れえぬ世界と思い
生きているだろ
[次のページ]
戻る   Point(5)