【小説】水色の下/R
屋。
TVと白い壁と壁に空いた穴。
「こっちに」
抱かれる以外に、どうしたら良いのかわからなかった。
空気が熱くて彼も熱くて、
どうしてここに私が固体として在るのか不思議だった。
いくら消えてなくなりたいと思っても、
手を伸ばせばそこに手はあって、
私はなんだか泣けてきた。
「どうして泣いているの?」
「わかんない」
「わからないのに、なんで泣くんだよ」
「わかんない」
「・・・・・」
クーラーが効いてきていて、寒くて分子が少なくなって、
私達の距離までも広がってしまったような気がした。
彼も私も泣く女は嫌いだったから、彼が怒っても仕方がなかった。
見捨て
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