もてない/しゃしゃり
 
もてない男が集まって
深夜のファミレスで話した
しみじみとふかぶかと話し込んだ
夜も更けて
やっぱりぼくらはもてないままだった

『もてないことのかなしみは
近代的な発明にすぎない』
『おれたちは貴族ではない
だれでも恋愛できるわけじゃない』
『前近代に生まれていれば
おれたちのかなしみはただ
はらがへったとか
いくさには行きたくないとか
そうゆうぐあいのものだったにちがいない』

だが食欲は満たされ
戦争はすでにフィクションだった

ぼくらはもてたいわけではなかった
ただほんとうのなにかがほしかった
それは愛ではないのか
愛でなければ愛でなくてもよいの
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