もてない/しゃしゃり
もてない男が集まって
深夜のファミレスで話した
しみじみとふかぶかと話し込んだ
夜も更けて
やっぱりぼくらはもてないままだった
『もてないことのかなしみは
近代的な発明にすぎない』
『おれたちは貴族ではない
だれでも恋愛できるわけじゃない』
『前近代に生まれていれば
おれたちのかなしみはただ
はらがへったとか
いくさには行きたくないとか
そうゆうぐあいのものだったにちがいない』
だが食欲は満たされ
戦争はすでにフィクションだった
ぼくらはもてたいわけではなかった
ただほんとうのなにかがほしかった
それは愛ではないのか
愛でなければ愛でなくてもよいの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)