風の背中/
服部 剛
目の見えない人が歩く
前にいる友の背中に手をあてて
目の見える僕も歩く
いつも前にいる 風の背中 に手をあてて
そうでもしないと
ささいなことで気ばかり焦(あせ)り
よたついて溝(どぶ)に落ちてしまいそう
自分勝手なこころの波に押し流されて
だいじな人さえ傷つけてしまいそう
目の見えない人のほうが
目の見える僕より
見えている
いつも前にいる 風の背中
暗闇をゆるやかに裂(さ)いて
吹き抜けてゆく
明日への通り道
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