丸の内ジャングル(改)/九谷夏紀
 
おきな光へ
先へ先へと
(陰はいらない?)
はやく前へと 
踏み出すときの 
一歩が一瞬になっていた 
一瞬の決断で一歩を踏み出して 
歩けてしまう 
この美しいコンクリートの街 
私は
前を見ていた
足元は
見えていた?
私は 
私は 
本来の 
私は? 
目と耳が
ふと機能を回復させろと主張した
目が捉えたのは仲通りとそこを行く人々 
耳が捉えたのは都会のざわめき 
いつもの丸の内仲通りだ 
なんとなく横を向いた 
そこにはうっそうと木々が生い茂っていた 
漂ってくる 
熱気と湿度 
みなぎる生命の呼吸は
息苦しくなるほどで
ビルとビルの
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