焼餅と誕生日。/もののあはれ
 
珍しく田舎から餅が届いたので。
食欲は無かったが食べないのも申し訳ないから。
焼餅にでもしようと箱から三つばかし取り出し。
オーブントースターに並べて焼いたみた。
すると餅の入ったダンボール箱に紙切れが入っていた。
それは僕の誕生日を祝う短い手紙だった。
僕さえ忘れていた今日のこの日を
親は忘れずに祝ってくれた。
餅を搗いている年老いた二人の姿を想像すると。
僕はなんともいえない気持ちになり。
焼き上がった熱い餅をグイグイと口の中に押し込んだ。
押し込めば押し込むほどになんだか胸が苦しくなった。
僕は喉を詰まらせたのかほとんど嗚咽なのか。
よく分らないへんてこな音を鼻から
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