亥の年よ/なかがわひろか
なあ、お前
鼠や牛や虎や兎や龍や蛇や
馬や羊や猿や鳥や犬が
時間の調教師に
追い立てられてきたけど
やっぱりお前のことは
忘れられないよ
あの時まだお前のことを
よく知らなかったけど
あの瞬間だけは
時間の支配者が
誰もいなかったんだ
だけど
いい加減ちゃんと見つめ直さないといけないな
あの時何が起こったか
寒い夜空
あちこちで沸き立つ煙は
本当は空を、何色に染めていたのか
俺たちは
ちゃんと見なきゃいけないな
お前は本当は
走り出したかった
止まることなく
延々と続く時間の一部を
後悔
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