路傍で/ダーザイン
 
白い海触崖の上
見渡す限りさえぎるもののない
広大な草原の真中にいて
両手を広げ
はたはたと
羽ばたく鳥のまねをしてみたり
帆のように風をはらみ
さらに白い空の彼方へと
消え入りたいとでも思ったのか

足元を見下ろせば
断崖の下に小さく打ち寄せる波頭
海はほの暗い光に満ち それは
命の影を秘めているかのように光り
岬の伝承によると
海にのまれ 帰らぬ人となった若者を慕う
少女が流した涙のレース飾り

銀色に光る風力発電機の塔が
誰もいない海岸丘陵に幾本も連なり
可聴域の外で微かにざわめく
重奏する声

アナタハ ソコニイマスカ

岬へ向かう歩道に沿
[次のページ]
戻る   Point(22)